幻覚が見えるときに考えられる原因と虫が見える症状の特徴

高齢者が「虫が見える」と訴える場合、幻覚が関係していることがあります。ここでは、虫が見える幻覚の状態や原因について解説します。
虫が見える幻覚とはどんな状態か
「虫が見える」とは、実際には存在しない虫を目にしたと感じたり、体に虫が這っている感覚を覚えたりする状態を指します。この現象は「幻視(げんし)」や「幻触(げんしょく)」と呼ばれ、特に高齢者の方に多く見られます。
虫が見える幻覚は、視界の端や部屋の壁、布団などに小さな虫がいるように思えたり、腕や足に虫がいると訴えることが特徴です。本人は非常にリアルに感じており、「虫を払ってほしい」と家族に求めることもあります。こうした幻覚が起きると、生活上の不安や恐怖感が強まることがあります。
幻覚の種類と高齢者に多い症状
幻覚には主に「幻視(実際には存在しないものが見える)」「幻聴(聞こえないはずの音や声が聞こえる)」「幻触(何かに触られている感覚がある)」などがあります。高齢者では、特に幻視が多く、「虫がいる」「人がいる」などの訴えが目立ちます。
一方で、認知症の進行や身体の不調、薬の影響などでも幻覚が現れることがあります。例えば、レビー小体型認知症では鮮明な幻視が特徴であり、虫や人、動物がはっきり見えると訴えることが多いです。幻覚が現れると、本人の不安感が増し、生活に困難を感じる場合があります。
幻覚が見えるときに受診すべきタイミング
幻覚が一時的なものであれば様子をみてもよいですが、頻繁に現れたり、生活に支障が出ている場合には医療機関の受診を検討しましょう。また、幻覚に加えて発熱や意識障害、急な性格の変化がある場合は、早めの受診が特に必要です。
受診を迷う場合は、以下のポイントを参考にしてください。
- 幻覚が毎日のように続く
- 本人の行動や言動が危険に感じる
- 家族の対応だけでは安心できない
- 急な体調変化や他の症状もみられる
こうした場合、かかりつけ医やもの忘れ外来、精神科などの専門医に相談することをおすすめします。
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幻覚が見える主な病気と認知症との関係

幻覚が見える背景にはさまざまな病気が潜んでいます。ここでは認知症を中心に、幻覚と関わりやすい疾患についてお伝えします。
レビー小体型認知症と幻覚の特徴
レビー小体型認知症は、認知症の種類のひとつで、特に幻視の症状がよくみられます。発症初期から「虫がいる」「人がいる」などの幻覚が比較的鮮明に現れるのが特徴です。
この認知症になると、記憶障害よりもまず幻視や錯視(実際の物が違うものに見える現象)が目立ってきます。また、症状の変動が大きく、日によって状態が変わることもあります。家族が「なぜこんなことを言い出すのか」と驚かれることも多いですが、本人には現実と区別がつきにくく、強い不安を感じることもあります。
パーキンソン病や統合失調症など他の疾患
幻覚は認知症だけでなく、パーキンソン病や統合失調症、うつ病など他の病気でもみられることがあります。特にパーキンソン病では、治療中の薬が影響して幻覚が現れる場合があります。
また、統合失調症では若い世代でも幻覚がみられますが、内容は「虫」以外にも多岐にわたります。高齢者では、うつ病やせん妄といった一時的な精神状態の変化でも幻覚が一時的に現れることがあります。どの病気に由来するかを見極めるためにも、医師への相談が重要です。
薬の副作用や全身疾患による幻覚
幻覚は、薬の副作用として現れることもあります。特に高齢者は複数の薬を服用していることが多く、眠剤や抗うつ薬、パーキンソン病治療薬などで幻覚が出ることがあります。
また、感染症や脱水、腎臓や肝臓の疾患といった全身的な病気が背景にある場合も幻覚が起こることがあります。体調に変化があったり、最近薬が増えた場合などは、医師に相談して薬や病気の影響を確認してもらうことが大切です。
虫が見える幻覚への対応方法と家族ができるサポート

家族が「虫が見える」と訴えられたとき、どのように接し、どんなサポートができるかはとても大切です。ここでは、具体的な対応の仕方や環境づくりのポイントを解説します。
否定しない接し方と安心感を与える工夫
幻覚を訴えられたとき、つい否定したり、「そんなことはない」と言いたくなるかもしれません。しかし、本人にとっては現実そのものであり、頭ごなしに否定すると不安や混乱を強めてしまいます。
接し方のポイントをまとめると、次のとおりです。
- 本人の話をいったん受け止める
- 「怖かったね」「心配だね」と共感を示す
- 落ち着いた声でゆっくり話す
- 本人が安心できるような言葉を選ぶ
一緒に「虫がいないか確認しようか」と行動するなど、本人の気持ちに寄り添うことが大切です。
部屋の環境を整えて錯視を防ぐ方法
虫が見える幻覚には、部屋の環境も関係します。薄暗い部屋や影になりやすい物が多いと、錯視(実際にはないものがあるように見える現象)が起きやすくなります。
環境を整えるための工夫には、次のような方法があります。
- 部屋を明るく保つ
- カーテンやシーツを無地のものにする
- 物を整理して床や棚をすっきりさせる
- 影になりやすい場所に間接照明を置く
このような配慮をすることで、虫が見える幻覚をやわらげることが期待できます。
病院受診や治療を検討する際のポイント
家族だけでは対応が難しいと感じたとき、病院への受診を考えてみましょう。病院を受診する際は、どのような状況なのかをメモして持参すると、医師との相談がスムーズになります。
受診時に伝えたいポイントは次のとおりです。
- 幻覚が始まった時期や頻度
- どんな幻覚(虫・人・音など)があるか
- 生活動作や性格の変化
- 服用中の薬や持病
- 体調の変化(発熱・脱水・けがなど)
こうした情報があると、医師も原因を特定しやすくなります。必要に応じて認知症専門医や精神科を受診することも大切です。
幻覚症状の治療法と老後の生活における注意点

幻覚症状は、治療や環境の工夫、生活習慣の見直しによってやわらげることができます。老後の安心した暮らしのために知っておきたい対策をまとめます。
薬を使わない幻覚症状の緩和方法
軽度な幻覚や環境要因によるものは、薬を使わずに改善できる場合があります。たとえば、生活リズムの見直しやストレスの軽減、部屋の明るさの調整などが有効です。
日中の活動を増やしたり、家族とのコミュニケーションを大切にすることも、不安や孤独感を減らし、症状の緩和につながります。また、趣味や楽しみを見つけることも気分を安定させる助けになります。これらの方法は、本人の負担が少なく、家族も一緒に取り組みやすいのが利点です。
医師による治療と薬物療法の選択肢
環境調整だけで症状が改善しない場合や、幻覚による不安・混乱が強い場合は、医師による治療が必要です。診断のうえで、薬物療法を提案されることがあります。
薬の種類としては、抗精神病薬や認知症治療薬などが使われることがあります。ただし、薬には副作用もあるため、慎重な調整が求められます。主治医とよく相談し、症状と生活のバランスを見ながら治療方針を決めることが大切です。また、薬に頼りすぎないよう、できるだけ環境の工夫やご本人の生活の質に配慮することを忘れないようにしましょう。
幻覚症状と終活や老後の備えの重要性
幻覚症状が現れると、本人だけでなく家族の生活にも大きな影響があります。今後の生活や介護について、早めに話し合い、備えておくことが安心につながります。
終活(人生の最終段階に備える準備)では、今後の希望や財産管理、介護・医療に関する意向を整理しておくことが重要です。家族で話し合い、介護や治療の方針、緊急時の対応方法などを共有しておくと、いざというときに慌てずに対応できます。
また、介護サービスや相談先を事前に調べておくことで、本人も家族も安心して老後を送ることができます。
まとめ:幻覚が見える虫の症状と認知症や老後に向き合うために知っておきたいこと
「虫が見える」などの幻覚は、高齢者や認知症の方にとって身近な症状です。原因や対応策を理解し、安心できる環境を整えることが大切です。
早めの受診や家族のサポート、生活環境を見直すことで、本人の不安をやわらげることができます。また、幻覚症状が続く場合は医師への相談や治療も検討してください。終活や老後の備えについても前向きに考え、家族と話し合うことが今後の安心につながります。
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