休職と介護を両立するには？仕事と家庭を守るための休業・休暇制度と活用ポイント

休職と介護仕事と両立するために知っておきたい制度の基礎知識

家族の介護と仕事を両立するためには、使える制度を知っておくことが安心につながります。ここでは介護休業や介護休暇について解説します。

介護休業と介護休暇の主な違い

介護休業と介護休暇は、どちらも家族の介護を理由に会社を休める制度ですが、使い方や目的に違いがあります。介護休業は、家族が要介護状態になった場合、長期間にわたりまとまった休みを取得できる制度です。一方、介護休暇は、短期間・数日単位で必要な時に取得できます。

たとえば、介護休業は最大93日まで連続または分割して取れる点が特徴です。介護休暇は、通院やデイサービスへの付き添い、急な受診など、日々の細かな介護が必要な時に、年に5日または10日まで取得できます。このように、長期の休みか短期の休みかで選ぶ制度が異なります。

介護休業や介護休暇を取得できる対象者と条件

介護休業や介護休暇を利用できるのは、主に雇用保険に加入している従業員です。正社員だけでなく、一定の条件を満たせば、契約社員やパートタイムの方も対象です。

制度を利用するためには、介護が必要な家族（配偶者、両親、子ども、配偶者の父母、祖父母など）が、要介護状態であることが条件です。要介護状態とは、怪我や病気などで2週間以上の常時介護が必要な場合をいいます。細かな条件については、会社の人事担当や厚生労働省のホームページを確認しましょう。

休職を伴う介護支援制度の申請方法と流れ

介護休業や介護休暇を取得する際は、まず勤務先に申し出ることが必要です。申し出は原則として、休業や休暇の2週間前までに行います。申請書類の様式は各企業で異なりますが、必要事項を記入し、家族の介護が必要であることを証明する書類（診断書など）も用意して提出します。

申請後は、会社からの承認を待ち、承認されたら休業や休暇に入ります。介護休業給付金を希望する場合は、ハローワークに別途申請が必要です。スムーズな申請のために、あらかじめ必要書類や流れを確認しておくと安心です。

介護休業の制度内容と活用するためのポイント

介護休業は家族の突然の介護が必要になった際に、仕事を一定期間休むことができる大切な仕組みです。活用のポイントを整理します。

介護休業の取得可能日数と分割取得のしくみ

介護休業は、対象家族1人につき最大93日まで取得可能です。この日数は、一度にまとめて取得することもできますし、3回まで分割して取得することもできます。たとえば、退院時のお世話と、その後の在宅介護の体制が整うまでなど、段階に応じて休業を分けて使うことが可能です。

仕事の調整や家族の状況に合わせて柔軟に取得できるのが魅力です。分割取得を希望する場合は、各回ごとに会社へ申請が必要になるため、計画的な準備を心がけましょう。

介護休業給付金の受給条件と金額の目安

介護休業中は、収入が減る心配がありますが、一定の条件を満たせば「介護休業給付金」を受け取ることができます。主な条件は、雇用保険に1年以上加入していること、介護のために休業すること、休業期間中に給与の支払いが一定基準（通常の80％未満）であることなどです。

給付額の目安は、休業開始前の賃金日額の67％相当です。一例として、月収30万円の場合は約20万円程度が給付されます。ただし、細かな金額や条件は個人の状況によって異なるため、事前にハローワークや会社の担当部門に確認することが大切です。

介護休業中の収入や社会保険料の取り扱い

介護休業期間中、収入は主に介護休業給付金となりますが、給与が一部支払われる場合もあります。その場合は、給付金の減額や調整が行われることがあります。

社会保険料については、介護休業中も原則として健康保険や厚生年金保険などの加入が継続されます。ただし、一定の条件を満たせば、保険料の納付が免除される場合もあります。会社と確認しながら手続きしましょう。収入や保険の取り扱いは家計にも影響するため、事前に把握しておくと安心です。

介護休暇の特徴と利用シーン

介護休暇は、短期間で柔軟に利用できる制度です。日常的な介護や急な対応が必要な時に、仕事を休みやすくなっています。

介護休暇の取得日数と対象となる家族

介護休暇は1年に最大5日、対象となる家族が2人以上の場合は10日まで取得できます。1日単位だけでなく、半日単位や時間単位で取得できる企業もあります。

【介護休暇の対象家族（例）】

• 配偶者（夫、妻）
• 父母（実父母、義父母）
• 子ども
• 祖父母、兄弟姉妹

このように、幅広い家族が対象となります。子どもの急な体調不良や、親の通院サポートなど、日常のさまざまな場面で利用しやすいのが特徴です。

介護休暇申請時の注意点と職場への相談方法

介護休暇を申請する際は、できるだけ早めに職場へ連絡しましょう。急な場合でも、事情を丁寧に説明することで、理解を得られやすくなります。

また、取得前に業務の引き継ぎや、休暇中に連絡が必要な場合の対応を相談しておくと、職場への負担が減り、安心して休暇を取得できます。職場の上司や人事担当者に相談しながら、スムーズなやり取りを心がけましょう。

介護休暇と他の両立支援制度の併用について

介護休暇は、他の両立支援制度と組み合わせて利用可能です。たとえば、次のような使い分けが考えられます。

• 介護休暇：短期的な介護や急な対応
• 介護休業：長期間の本格的な介護
• 時短勤務やフレックスタイム：日常的な介護と仕事のバランス

このように、状況や必要に応じて複数の制度を活用できます。同じ対象家族について、まず介護休暇を使い、その後介護休業に移行することも可能です。自分の働き方や家族の状況に合わせて、無理のない制度利用を心がけましょう。

介護休職を考える際に準備しておきたいこと

介護と仕事を両立するためには、制度を利用するだけでなく、日頃からの準備や情報収集も大切です。いざという時に困らないためのポイントを紹介します。

仕事と介護を両立するための社内外のサポート体制

社内の制度や相談窓口を活用することで、仕事と介護のバランスを取りやすくなります。たとえば、総務や人事の担当者に相談することで、自社の制度や特例について詳しく教えてもらえます。

社外でも、市区町村の地域包括支援センターや、介護相談窓口、民間の介護サービス事業者など、さまざまな支援が受けられます。情報を整理しておくために、連絡先リストを作成しておくと安心です。困ったときに相談できる先を、あらかじめ確認しておきましょう。

介護に伴う費用負担を軽減する支援策

介護には、医療費や介護サービス費用、交通費など、さまざまな出費が発生します。費用負担を軽くするためには、公的な助成制度をうまく活用することが重要です。

【主な支援策の一例】

支援策	内容	相談窓口
介護保険サービス	自宅での訪問介護や施設利用	地域包括支援センター
高額医療費制度	医療費の自己負担軽減	市区町村の窓口
税制優遇	介護費用の一部控除	税務署

このように、利用できる制度を調べ、必要な手続きを早めに行うことで、経済的な負担を軽減できます。

認知症や老後の備えとして重要な終活のすすめ

認知症や老後の介護に備えて、早めに終活（人生の整理や準備）に取り組むことも大切です。終活には、財産や重要書類の整理、介護や医療の希望を家族と話し合っておくことが含まれます。

たとえば、エンディングノートに希望を書くことで、家族が迷わず対応できます。また、遺言書や任意後見制度の利用も考えましょう。早めに家族と話し合い、将来の不安を減らすことが安心につながります。

まとめ介護と仕事を両立するための休職制度と賢い備え方

介護と仕事を両立するには、介護休業や介護休暇などの制度を正しく理解し、自分と家族の状況にあった使い方を選ぶことが大切です。申請の流れや給付金、費用負担を軽くする支援策など、事前に情報を集めておくことで、いざという時の不安を和らげることができます。

また、日頃から社内外のサポート体制を確認し、終活も視野に入れた備えを進めておくことで、より安心して介護と仕事の両立ができるでしょう。自分だけで抱え込まず、周囲の支援も活用しながら、無理のない選択を心がけてください。