介護休業給付金がもらえない理由と受給条件は？申請方法や他制度も解説

介護休業給付金がもらえない理由と受給条件を分かりやすく解説

家族の介護を理由に仕事を休む際、金銭的な助けとなる「介護休業給付金」ですが、誰もがもらえるわけではありません。仕組みと条件を理解しましょう。

介護休業給付金の基本的な仕組みと特徴

介護休業給付金は、主に雇用保険に加入している労働者が利用できる制度です。対象となるのは、家族の介護が必要になり、仕事を一時的に休まなくてはならない方です。この給付金を受け取ることで、介護による収入減を一部補うことができます。

受け取れる金額は、休業開始前の賃金のおよそ67％（2024年6月現在）となっています。また、対象となる家族の範囲や、休業できる期間には上限が設けられています。たとえば、介護の対象となる家族は配偶者・父母・子どもなど、三親等以内の親族に限られており、休業期間も通算93日までと決まっています。制度の利用にはいくつかの要件があるため、事前に確認しておくことが大切です。

もらえない主なケースとその理由

介護休業給付金は、全ての労働者が必ず受給できるわけではありません。たとえば、アルバイトやパートであっても雇用保険に未加入の場合は対象外となります。自営業やフリーランスの方も、雇用保険の被保険者でなければ給付の対象になりません。

また、同じ家族で複数回申請する場合や、家族が要介護認定を受けていない場合も、受給が認められないことがあります。さらに、既に退職している場合や、休業前に会社を辞めてしまった場合も対象外です。主な「もらえない理由」は以下の通りです。

• 雇用保険の被保険者でない
• 家族が要介護状態と認定されていない
• 既に退職済み、あるいは休業前に退職予定
• 介護対象者が三親等以内でない

制度が適用される条件は細かく決められているため、事前に自分が該当するかチェックすることが大切です。

受給条件を満たすためのポイント

介護休業給付金を受け取るには、いくつか満たすべき条件があります。まず、雇用保険の被保険者であることが前提です。そして、介護が必要な家族が要介護2以上などの条件を満たしていることも重要です。

さらに、休業期間についても注意が必要です。同じ家族につき通算93日まで、3回まで分割して取得できますが、それ以上は認められません。また、会社に対して事前に休業の申し出をし、必要な書類を揃えることも必要です。以下のポイントを押さえるとスムーズです。

• 事前に会社に休業の申請を行う
• 介護対象者の要介護認定を取得する
• 休業期間や回数の上限を守る
• 必要書類を準備し、不備がないよう確認する

ポイントをクリアして準備を進めることで、申請時のトラブルを減らすことができます。

介護休業給付金の申請方法と必要書類

実際に介護休業給付金を申請するためには、手続きや書類の準備が欠かせません。ここでは流れと必要なものを紹介します。

申請手続きの流れと注意点

介護休業給付金の申請は、まず会社に介護休業の申し出をし、会社を通じてハローワークへ書類を提出する形で進みます。手続きは会社がサポートしてくれる場合が多いですが、自分で準備する部分も多いため、流れを理解しておきましょう。

主な手続きの流れは以下のとおりです。

1. 会社に介護休業の希望を伝え、必要な手続きを開始
2. 会社が「介護休業開始届」を作成
3. 休業開始後、必要書類を会社に提出
4. 会社がまとめてハローワークに申請

注意点としては、申請に必要な書類が揃っていないと受給が遅れるおそれがあることです。また、会社によっては初めての対応で戸惑うケースもあるため、できるだけ早めに相談しましょう。書類の記載ミスや記入漏れもトラブルの原因となるので、丁寧に確認することが大切です。

必要書類のチェックリスト

介護休業給付金の申請時には、いくつかの書類が必要です。漏れがないよう、チェックリストを活用しましょう。

書類名	概要	提出先
介護休業給付金支給申請書	休業の事実を証明する書類	ハローワーク
介護休業取扱通知書	会社が作成、休業の確認書類	ハローワーク
賃金台帳や出勤簿の写し	休業期間・賃金を証明する書類	ハローワーク

このほか、介護を必要とする家族の要介護認定書や、本人確認書類（免許証など）が求められることもあります。会社によって提出方法や必要書類に細かな違いがあるため、事前に会社の担当者やハローワークに確認すると安心です。

申請期限と遅延時の対処法

介護休業給付金の申請には、期限が設けられています。休業開始日から2ヶ月以内に申請する必要があります。期限を過ぎてしまうと、給付金を受けられない場合があるため、スケジュール管理が重要です。

もし申請が遅れてしまった場合は、すぐに会社やハローワークへ相談しましょう。やむを得ない事情がある場合は、個別に相談して受理されるケースもありますが、原則としては期限内申請が基本です。遅れそうなときは、事前に相談して対応策を確認することをおすすめします。

介護休業給付金を受給できない場合の対応策

給付金の受給条件を満たせなかった場合でも、他の制度や支援策を活用することで負担軽減を目指すことができます。

他の公的給付制度や支援の種類

介護休業給付金が利用できない場合でも、他にも公的支援が用意されています。たとえば、介護保険によるサービスや、生活福祉資金貸付制度などが挙げられます。これらは所得や状況に応じて申請できる場合があります。

また、自治体ごとに独自の手当や助成金を設けていることもあるため、役所や地域包括支援センターで情報を集めるのも良い方法です。主な支援制度をまとめると、以下のようになります。

• 介護保険による訪問介護、デイサービスなど
• 生活福祉資金貸付制度（低所得世帯向け）
• 自治体の独自支援（金銭的助成、相談サービス）

一つの制度が利用できなくても、他のサービスと組み合わせて生活の安定につなげることが可能です。

仕事と介護を両立するためのサポート

介護と仕事を両立するには、会社や周囲の理解と協力も大切です。職場に相談し、時短勤務やテレワークなど柔軟な働き方が可能かどうかを確認しましょう。また、家族や親戚とも協力体制を作ることが、精神的な支えになります。

さらに、「両立支援助成金」など、企業側に支給される制度もあります。職場の人事担当者に相談し、自分にあった働き方ができるか話し合ってみましょう。介護休暇や介護短時間勤務といった制度も、積極的に活用したいポイントです。

相談窓口や専門家に頼る方法

介護や給付金の制度は内容が複雑で、個人だけでは対応が難しい場合も多いです。そんなときは、自治体の相談窓口や、社会保険労務士・ケアマネジャーなどの専門家にアドバイスを求めると良いでしょう。

主な相談先を表にまとめました。

相談先	相談内容例	利用方法
地域包括支援センター	介護・制度相談	電話・訪問
社会保険労務士	労働・給付金手続き	予約制で面談
市区町村の福祉課	各種助成・申請案内	窓口・電話

困ったときは一人で抱え込まず、周囲のサポートや専門家の知識を活用することが大切です。

認知症や終活 老後の備えとして知っておきたい介護関連制度

家族に認知症の方がいる場合や、終活を考えている方にとって、介護に関する様々な制度を知っておくことは安心な老後につながります。

認知症介護と休業給付金の活用法

認知症の介護は、長期にわたってサポートが必要になることが多いです。そのため、仕事と介護の両立や、家計への影響を考えたとき、介護休業給付金の存在は大きな助けになります。認知症が進行して要介護認定を受けている場合は、給付金の対象となる可能性が高いです。

また、介護休業給付金だけでなく、介護保険サービスを併用することで、日々の負担を軽減できます。たとえば、訪問介護やデイサービスを利用しつつ、必要なときに仕事を調整できるよう、会社と相談してみましょう。認知症の方の介護は一人で抱えがちですが、制度を上手に活用することが大切です。

終活の観点から考える介護資金計画

終活を進めるうえで、将来の介護費用をどのように用意するかも大切なポイントです。介護には思ったよりお金がかかることも多く、早めに資金計画を立てておくと安心感が違います。

主な資金の準備方法としては、以下のようなものがあります。

• 介護保険や民間の保険に加入する
• 貯蓄や退職金の活用
• 必要に応じて公的給付金や助成制度を申請

また、家計の見直しや、資産整理も合わせて行うと良いでしょう。終活ノートなどを活用して、家族と一緒に将来の計画を話し合うことも、スムーズな介護につながります。

老後の安心につながる情報収集のコツ

老後や介護に関する制度は、変更や見直しが行われることも多く、最新の情報を知っておくことが重要です。情報収集には、信頼できる公的機関や専門家のサイトを活用し、定期的に内容をチェックしましょう。

また、セミナーや勉強会、地域の介護相談会などに参加するのもおすすめです。介護経験者の話を聞いたり、実際に利用している制度について情報交換したりすることで、実践的な知識が身につきます。疑問や不安がある場合は、早めに相談することで、トラブルの予防や安心につながります。

まとめ：介護休業給付金を正しく理解し安心の老後を目指そう

介護休業給付金は、介護と仕事の両立を応援するための大切な制度ですが、受給にはいくつかの条件や手続きが必要です。申請方法や必要書類をしっかり確認し、早めの準備が安心への第一歩となります。

もし受給が難しい場合も、他の公的制度や職場のサポート、専門家のアドバイスを活用することで、様々な困りごとに対処できます。認知症や終活に備えた情報収集と計画も、老後の生活を支える大きな力になります。制度を正しく理解し、家族や自分自身が安心して暮らせる将来を目指しましょう。