介護医療院のデメリットは？他施設との違いや費用・選び方も解説

介護医療院とは何か特徴や役割をわかりやすく解説

介護医療院は医療と介護を両立できる新しい形の施設です。高齢化が進む中、医療的なケアと生活支援が同時に必要な方に向けて作られました。

介護医療院が生まれた背景と目的

日本の高齢化が進むにつれ、長期間入院が必要な高齢者や、在宅生活が難しい方の増加が課題となっていました。従来の介護施設では医療的なケアが十分に受けられず、また病院では生活支援が不十分な場合がありました。

そこで誕生したのが介護医療院です。医療と介護の両方のサービスを提供し、安心して長く生活できる場を目指しています。終末期のケアや認知症への対応も重視され、入院と在宅の中間的な役割を担うことが目的です。

他の介護施設や医療機関との違い

介護医療院は、従来の介護施設や病院とはサービス内容や入居対象者に違いがあります。たとえば特別養護老人ホームでは医療ケアが限られており、医療機関では生活支援が十分でないことが多いです。

介護医療院では医師や看護師が常駐し、点滴や褥瘡（床ずれ）管理など医療的なケアも可能です。また、生活支援やリハビリも行い、「暮らし」と「医療」の両方をサポートできます。以下のような違いがあります。

種別	医療ケア	生活支援
介護医療院	充実	充実
特養（特別養護）	限定的	充実
病院	充実	限定的

介護医療院の主な入居条件と対象となる方

介護医療院の入居条件は、主に「要介護度が高く、医療的なケアが日常的に必要な方」となっています。たとえば、認知症が進み日常生活に大きな支障がある場合や、慢性的な疾患で頻繁に医療行為が求められる方が対象です。

具体的には、要介護3以上の方や、点滴や吸引、褥瘡のケアなど、日常的に医療サポートが必要な方が多く利用しています。長期療養が必要で、在宅や一般の介護施設では十分な対応が難しい場合に適しています。

介護医療院のサービス内容と利用時のポイント

介護医療院では、医療ケアと介護の両方がバランス良く提供されています。利用前に受けられるサービスや体制を知っておくことで安心して選ぶことができます。

受けられる医療ケアと介護サービス

介護医療院では、医師や看護師による医療ケアが24時間体制で提供されます。たとえば、点滴や薬の管理、褥瘡の治療、気管切開後のケア、終末期の対応など、幅広い医療行為が可能です。日常的な健康管理や緊急時の対応が充実しているため、医療ニーズが高い方でも安心して生活できます。

一方で、介護サービスも手厚く提供されます。食事や入浴、排泄などの日常生活のサポートを中心に、個々の状態や希望に合わせたケアプランが作成されます。医療と介護を一体的に受けられることが、介護医療院の大きな特徴です。

リハビリや生活支援の内容

介護医療院では、リハビリスタッフによる機能訓練や、生活の質を保つための支援が行われています。たとえば、歩行訓練や筋力向上のための体操、関節の可動域を保つリハビリなどが実施されます。

また、日常生活を少しでも自立して送れるよう、食事や排泄、着替えなどの動作訓練も取り入れられています。生活支援としては、レクリエーション活動や、家族との面会支援などもあります。リハビリと日常支援が一体となって、利用者の「できること」を大切にしています。

スタッフの職種と体制の特徴

介護医療院には、医師や看護師、介護職員だけでなく、リハビリスタッフ（理学療法士、作業療法士）やケアマネージャーなど多様な職種が在籍しています。そのため、医療・介護・リハビリが連携して利用者の状態に合わせたケアを提供できます。

スタッフは24時間体制で配置されており、夜間や緊急時にも対応できる点が安心材料です。それぞれの職種が連携し、家族とのコミュニケーションも重視されています。利用者一人ひとりの細やかなケアが実現できる体制となっています。

介護医療院のメリットとデメリット

介護医療院を選ぶ際には、利点と課題の両方を知っておくことが大切です。それぞれをよく理解し、自分や家族に合った選択をしましょう。

介護医療院の主なメリットと利用が向いている人

介護医療院の大きなメリットは、医療と介護の両方を手厚く受けられることです。医師や看護師が常駐しているため、急変時や持病管理にも迅速に対応できます。終末期のケアや認知症の進んだ方への専門的な対応も期待できます。

また、長期入居が可能なため、住み慣れた環境で落ち着いて生活したい方や、家族の介護負担を軽減したい場合にも向いています。具体的には、次のような方におすすめです。

• 医療ニーズが高い
• 認知症が進んでいる
• 家庭での介護が難しい

介護医療院のデメリットと注意点

介護医療院にも注意したい点があります。たとえば、施設によっては個室が少なく、プライバシーを重視しづらい場合があります。また、生活の自由度が制限されがちで、外出や外泊の機会が限られるケースもあります。

さらに、医療ケアやサービスが手厚い分、費用が高めになることもあります。入居前には、施設ごとのサービス内容や雰囲気、費用などをしっかり確認しておくことが大切です。

デメリットが大きくなる方の特徴や選び方のコツ

介護医療院の環境が合わずデメリットを感じやすいのは、自由な生活や外出を重視する方、集団生活が苦手な方などです。また、比較的自立して生活できる方は、サービスが過剰に感じる場合があります。

選ぶ際は、次のようなポイントを意識しましょう。

• 施設見学で雰囲気をチェックする
• プライバシーや生活の自由度を確認する
• 自身や家族の希望を整理し、優先順位を明確にする

気になる点は事前に質問し、納得した上で入居を決めることが後悔しないためのコツです。

介護医療院の費用や手続き利用までの流れ

介護医療院を利用するには、費用や手続き、入居までの流れを事前に知っておくことが大切です。安心して利用するための基礎知識をまとめます。

入居費用や月額費用の目安と内訳

介護医療院の費用は、入居一時金が不要なところが多いですが、月額費用は全国平均でおおよそ12万円～20万円程度が目安です。費用の主な内訳は以下の通りです。

費用項目	内容	目安金額（月額）
介護サービス費	介護・医療ケア	5～10万円
食費・居住費	食事・部屋代	5～7万円
その他費用	日用品・娯楽など	1～3万円

介護度や医療ニーズ、個室か多床室かによっても費用は変動します。事前に見積もりを取り、納得できる範囲か確認することが大切です。

費用負担を軽減する制度や支援策

介護医療院の費用負担を和らげるため、いくつかの公的支援制度が利用できます。たとえば、「高額介護サービス費制度」は、一定額を超えた費用が払い戻される仕組みです。また、所得に応じて食費や居住費の軽減が受けられる「補足給付」もあります。

要件に当てはまるかどうかは、市区町村や施設の相談員に問い合わせてみましょう。手続きをスムーズに進めるためにも、必要書類や申請時期をあらかじめ確認しておくと安心です。

介護医療院の申し込みから入居までの手順

介護医療院の利用は、まず見学や相談から始まります。その後、入居申し込み、面談や書類審査、医師の診断などを経て入居決定となります。

一般的な流れは次の通りです。

1. 施設見学・相談
2. 入居申し込み
3. 面談・必要書類の提出
4. 健康診断・医師の意見書作成
5. 入居審査・決定
6. 入居日の調整・契約

入居までには数週間～1か月ほどかかることが多いです。空き状況や書類準備によって期間が変わるため、早めの相談・準備がポイントになります。

まとめ：介護医療院を理解し後悔しない施設選びを実現しよう

介護医療院は、医療と介護を一体的に受けられる安心感が大きな特徴です。しかし、自由度や費用、施設ごとの違いもあるため、ご自身やご家族の希望と状況に合わせた選択が大切です。

見学や相談を通じて納得できる施設を選び、安心して老後を過ごせる環境づくりにつなげましょう。情報収集と下調べが、後悔しない施設選びの第一歩になります。