高齢者に見られるよだれの増加と認知症の関係を知る

高齢者のよだれの増加は、加齢だけでなく認知症の初期症状としても現れることがあります。この関係を知ることで、早期の気づきや適切な対処につながります。
よだれが多くなる主な原因とそのメカニズム
よだれが多くなる背景には、唾液の分泌量が増える場合と、口の機能が低下して飲み込みが難しくなる場合が考えられます。特に高齢者では、加齢に伴う筋力低下や神経の働きの衰えが影響しやすいです。
また、口を閉じたままにしておく力が弱まると、無意識に口が開きがちになり、自然と唾液がこぼれてしまうこともあります。さらに、脳の働きが低下することで飲み込むタイミングが分かりにくくなり、よだれが増える原因となることもあります。
認知症によるよだれの症状が現れるタイミング
認知症のよだれ症状は、初期段階よりも中期から後期にかけて目立つ傾向があります。認知機能が低下してくると、口の動きや飲み込みのコントロールが難しくなるためです。
たとえば、食事中だけでなく普段の生活の中でも口元からよだれが出やすくなります。本人が気付きにくい場合も多く、家族や介護者が変化に気づいてあげることが早期対策のポイントとなります。
よだれの増加から考えられる他の健康リスク
よだれが増えると、口の周りが湿った状態が続き、皮膚がただれやすくなります。さらに、唾液が気管に入りやすくなると誤嚥(ごえん)を起こしやすくなり、肺炎などの病気につながることもあります。
また、口腔内の衛生状態が悪くなりやすいため、歯周病や口臭、感染症のリスクも高まります。以下のようなリスクが考えられます。
- 口の周りの皮膚炎
- 誤嚥性肺炎
- 口腔内トラブル(歯周病、虫歯、口臭)
このような健康リスクを予防するためには、日々のケアと早めの対応が重要です。
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認知症の種類別にみるよだれ症状の特徴と注意点

認知症とひと口に言っても、その種類によってよだれの症状や現れ方には違いがあります。タイプ別の特徴を知ることで、より適切な対応が可能となります。
アルツハイマー型認知症に見られるよだれの特徴
アルツハイマー型認知症では、記憶力や判断力の低下が中心で、よだれの増加は比較的ゆっくり進行します。初期には目立たないことが多いですが、徐々に口を閉じる力や飲み込む機能が低下していきます。
そのため、口の周りに常に湿り気がある、食事中にむせやすい、飲み込みが遅くなるといった様子が見られることが増えてきます。本人が気にしにくいため、家族や介護者が注意深く変化を観察し、必要に応じてケアを強化していくことが大切です。
レビー小体型認知症と自律神経障害による影響
レビー小体型認知症では、体の動きがぎこちなくなるパーキンソン症状や、自律神経の働きの乱れがよく見られます。自律神経は唾液の分泌をコントロールしているため、よだれが増えたり減ったりすることがあります。
また、筋肉のこわばりや動きの鈍さによって、飲み込むタイミングがずれてしまうことも特徴の一つです。唇を閉じていられない、舌がうまく動かせないといった症状もよだれ増加の一因となります。こうした特有の影響を理解しておくことで、早めの対策につなげやすくなります。
薬の副作用とよだれの増加の関係性
認知症の治療や合併症対策で使われる薬の中には、唾液の分泌を増やす副作用を持つものがあります。たとえば、一部の抗精神病薬やパーキンソン病治療薬もその一例です。
このような場合、薬の影響によるよだれ増加が疑われるときは、医師に相談し、薬の調整や代替を検討してもらうことが大切です。薬の変更で症状が落ち着くこともありますので、自己判断せず専門家の意見を聞くようにしましょう。
介護現場で実践できるよだれ対策と日常ケアのポイント

よだれの増加を見守るだけでなく、日常のケアで軽減を目指すことができます。介護の現場や家庭で実践しやすい方法を紹介します。
口腔ケアと口腔体操でよだれを軽減する方法
口腔ケアは、よだれの増加を抑える基本的な対策です。毎日の歯磨きやうがいに加えて、口の中を清潔に保つことが口元トラブルの予防につながります。
さらに、口腔体操を取り入れることで、口の周りや舌の筋肉を鍛えることができ、唾液の飲み込みやすさを高めます。代表的な口腔体操は以下のようなものがあります。
- 「パ・タ・カ・ラ」と声を出して繰り返す
- 口を大きく開けたり閉じたりする
- 舌を左右に動かす
これらを毎日数回続けることで、飲み込む力の維持や口元のトラブル予防に役立ちます。
誤嚥や口元のただれを防ぐための実践的アドバイス
よだれが増えると、誤って気管に入ってしまう誤嚥や、皮膚のただれを引き起こしやすくなります。これを防ぐためには、日常生活での工夫が必要です。
まず、食事姿勢は背筋を伸ばし、頭を少し前に傾けることで誤嚥を予防できます。また、口の周りが濡れているときは、こまめに優しく拭き取ることが大切です。肌荒れ防止のためには、柔らかいタオルで押さえるように拭く、保湿クリームを使うといったケアが有効です。
表:よだれ対策のポイント
ケア内容 | 具体的な方法 | 頻度 |
---|---|---|
口腔ケア | 毎食後の歯磨き・うがい | 毎食後 |
口腔体操 | パ・タ・カ・ラ練習 | 1日2回 |
口周りの拭き取り | 柔らかいタオル使用 | 必要時 |
コミュニケーションや環境調整による予防法
よだれの増加は、ストレスや不安、注意力の低下とも関係しています。安心できる声かけや穏やかな環境づくりが予防につながります。
たとえば、焦らせずゆっくりと話しかける、静かな音楽を流す、明るく清潔な部屋で過ごすなどの工夫が効果的です。また、口元に手を添えてあげることで、自然と口を閉じやすくなります。こうした環境やコミュニケーションの工夫が、よだれ症状の悪化予防につながります。
よだれの症状に気づいたときの受診と終活の準備

よだれの増加に気づいた場合は、医療機関への受診や今後の生活設計を考えるきっかけになります。何科を受診するかや、終活の第一歩について解説します。
どの診療科を受診すべきかと医療機関の選び方
よだれの症状が続く場合、まずは「かかりつけ医」や「内科」を受診し、必要に応じて「神経内科」や「歯科」「耳鼻咽喉科」などを紹介してもらうのが一般的です。
医療機関を選ぶ際は、本人の状態や認知症の診療実績があるかどうか、介護やリハビリへの理解があるかも確認ポイントとなります。複数の科で連携できる大きな病院か、地域の認知症サポート医がいるクリニックを選ぶと安心です。
介護サービスや施設選びの際の注意点
よだれの症状が進み、在宅での生活が難しくなった場合は、介護サービスや施設の利用を検討することも大切です。施設選びでは、口腔ケアや食事介助に力を入れているかを確認しましょう。
また、介護スタッフの人数や医療機関との連携状況、家族との面会のしやすさも重要なポイントです。見学時には、実際のケアの様子やスタッフの対応、入居者の表情などをよく観察して選ぶことが大切です。
よだれ症状を踏まえた老後の備えと終活の進め方
よだれの症状が続くと、将来的な介護の負担や意思決定の準備も考えておく必要があります。終活の一環として、介護や医療の希望を書き出しておくと、家族の負担も軽減できます。
「どのようなケアを受けたいか」「どこで最期を迎えたいか」などを家族と話し合い、エンディングノートや事前指示書にまとめておく方法もあります。財産管理や遺言書の準備も、本人の安心と家族間のトラブル防止につながります。
まとめ:よだれの症状から考える認知症ケアと安心の老後準備
高齢者のよだれの増加は、認知症のサインや体調変化の表れであることも少なくありません。日々の観察と適切なケアが、本人と家族の安心を支えます。
早めの受診や専門家への相談、将来を見据えた終活の準備も大切です。介護現場や家庭でできる工夫を取り入れながら、安心して老後を過ごせる環境づくりを心がけましょう。
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